花粉症の治療
花粉症は、I型(いちがた)アレルギーに分類される病気の一つで、杉や檜などの花粉が目や鼻、のどの粘膜に接触することによって引き起こされます。
ここでは花粉症によって引き起こされる目の病気、アレルギー性結膜炎について解説します。
アレルギー性結膜炎の症状
アレルギー性結膜炎の症状は主に以下の通りです。
- 目が痒い
- 目が赤い(充血する)
- 目がゴロゴロする
- めやにが出る
- 涙が出る
特に目の痒みはアレルギー性結膜炎に特徴的な症状です。
アレルギー性結膜炎の分類
季節性アレルギー性結膜炎
季節性アレルギー性結膜炎は、花粉が原因で、毎年決まった季節に起こります。
代表的なのは杉や檜で、2−5月頃に症状が出ます。
他にも5−8月頃にはカモガヤやオオアワガエリ、8−10月頃にはブタクサやヨモギによって症状が出る人がいます。
また鼻炎の合併が70%にみられます。
通年性アレルギー性結膜炎
通年性アレルギー性結膜炎は、ダニやハウスダストが原因で、年間を通して症状があるのが特徴です。
アレルギー性結膜炎の有病率
季節性アレルギー性結膜炎の有病率は45.4%、通年性アレルギー性結膜炎の有病率は14%です(Allergol Int:487-495, 2020.)。
約半数の方がアレルギー性結膜炎に悩まされています。
アレルギー性結膜炎の予防
花粉対策
屋外の花粉対策
- 花粉飛散時期を知っておく(花粉が飛び始める前に対策をする)
- マスクをつける
- 花粉防御用メガネをつける
- 外出時の衣類を滑りの良い生地にする(花粉が衣類につきにくいようにする)
- コート・スカーフ・帽子は玄関に入る前に脱ぐ
- コンタクトレンズ装用を中止する(コンタクトレンズはアレルギー性結膜炎を悪化させる)
- 洗眼用の目薬をさす(防腐剤無添加の点眼剤・人工涙液などで目についた花粉を洗い流す)
屋内の花粉対策
- 花粉シーズンは窓を閉める、布団を屋外に干さない
- 帰宅後は目を洗う、うがいをする、鼻をかむ
- こまめに部屋の掃除をする
- 空気清浄機をつける
ダニ対策
ダニの破片、排泄物がアレルギーの原因となります。
ダニが住みつきにくい環境づくりが大切です。
- 常に室内を清潔に保つ
- 室温を20度以下に保つ
- 湿度を50%以下に保つ
- 通気性を良くする
- 布団をベッドに変える(床から30cmの位置に埃が集まりやすいので、ベッドにすることで寝る時の鼻と口の高さが高くなり、埃を吸いにくい)
- 晴れた日に寝具を天日干しする(ダニを死滅させる)
- 布団乾燥機を使う(ダニを死滅させる、天日干しより効果が強い)
- 掃除機で布団表面のダニとダニの餌を除去する
- 空気清浄機をつける
アレルギー性結膜炎の治療
目薬による治療を行います。
抗アレルギー薬
炎症の原因となるヒスタミン、ロイコトリエン、トロンボキサンA2の遊離を抑制したり、ヒスタミンが受容体に結合して作用するのを抑制する薬です。
代表的な目薬にパタノール(オロパタジン)やアレジオン(エピナスチン)があります。
花粉シーズンの2-4週前から使用すると特に効果的です。
花粉シーズンに入って症状が出てから目薬を開始するより、症状発生前から予防的に目薬を開始した方が、症状の発生時期を遅らせて、さらに症状の強さを抑えることが出来ます。
副腎皮質ステロイド薬
強力な抗炎症作用を持つ薬で、抗アレルギー薬だけでは症状が落ち着かない場合に使用します。
効果は強力ですが、副作用として白内障が進行する・眼圧が上昇して緑内障になる・感染症にかかりやすい、といった症状が出ることがあります。
そのため症状が強い時のみ、短期的に使用します。
代表的な目薬にリンデロン(ベタメタゾン)やサンテゾーン(デキサメタゾン)、フルメトロン(フルオロメトロン)があります。
非ステロイド性抗炎症薬
NSAIDSと呼ばれる薬で、飲み薬としてはロキソニンが有名です。
副腎皮質ステロイド薬より炎症を抑える効果はやや弱いですが、白内障や眼圧上昇・感染の合併症がないため、通年性アレルギー性結膜炎に使いやすい薬です。
代表的な目薬にジクロード(ジクロフェナクナトリウム)、ブロナック(ブロムフェナクナトリウム)、二フラン(プラノプロフェン)があります。