霰粒腫手術について
病名と病態
霰粒腫とは、涙の成分のうち油分を産生する腺(マイボーム腺)の出口が閉塞して、マイボーム腺の内部に油分が溜まり、炎症が生じて肉芽腫という固い組織が生じている状態です。
コリコリとしたシコリのようなものが瞼に出来ます。
通常は痛みを伴いませんが、肉芽腫内で感染を起こすと痛みが生じることがあります。
手術の目的
霰粒腫による違和感を改善するために、霰粒腫を除去する手術を行います。
手術の内容
皮膚に麻酔の注射をした後、皮膚を切開し、霰粒腫を取り除きます。
最後に皮膚を糸で縫合して終了です。
手術は注射による局所麻酔で仰向けの姿勢で行い、手術時間は通常15分程度です。
手術の合併症
1. 眼瞼腫脹・眼瞼出血
手術直後に、瞼が炎症や出血で腫れることがあります。
その場合は元に戻るまで2-3週間かかります。
結婚式や集会などで写真撮影を控えている場合はご注意ください。
2. 縫合糸による異物感
手術後は縫合糸により「ゴロゴロ感」「しみる感じ」「軽い圧迫感」などを感じることがありますが、強い痛みを感じることは通常ありません。
しかし、眼の状態が特殊であったり、手術中に特別な処置を施す必要があった場合には、稀に強い痛みを感じることがあります。
手術直後に強い痛みを感じる場合は、痛み止めの薬を処方しますので、遠慮せずに職員にお伝えください。
縫合糸は通常2-4週間後に抜糸をします。
手術後の留意点
手術後の生活
手術当日は眼帯をしてお帰りいただきます。
手術当日の洗顔・洗髪はお控えください。
首から下のシャワーや入浴は可能です。
手術翌日に眼帯を外して診察します。
手術翌日からは洗顔・洗髪をしていただいて結構です。
仕事や車の運転などの制限は特にありません。
手術後の目薬
手術後は1ヶ月程度、抗菌薬の軟膏を塗布します。
悪性腫瘍の鑑別
高齢者の霰粒腫の場合、霰粒腫ではなく脂腺癌という悪性腫瘍の可能性があります。
事前には判断がつかないことが多いため、摘出した組織を病理組織検査に提出し、霰粒腫か悪性腫瘍かを鑑別することがあります。
代替可能な治療
1. ステロイド眼軟膏の塗布
ステロイド眼軟膏を霰粒腫に塗布することで、霰粒腫を徐々に小さくすることが出来ます。
治癒までには3ヶ月以上かかることが多いです。
ステロイドの副作用で、眼圧が上昇することがあります。
2. ステロイドの霰粒腫内への注射
ステロイドを霰粒腫内に直接注射することで、霰粒腫を小さくすることが出来ます。
軟膏の塗布よりは短い期間で治癒が期待できますが、注射の際に疼痛を伴います。
眼圧上昇の副作用が出る可能性が軟膏よりは高いです。
手術を行わなかった場合に予想される経過
自然経過では霰粒腫が改善することは少なく、治るとしても非常に時間がかかります。
ステロイドの軟膏や注射では霰粒腫の治癒が期待できますが、手術よりは治るまでに時間がかかります。