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多焦点眼内レンズについて

多焦点眼内レンズとは、焦点の合う部分が2ヶ所以上ある、保険適応外の眼内レンズです。

 

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多焦点眼内レンズのメリット

メガネなしで遠くも近くも見える

保険適応の単焦点眼内レンズは焦点の合う部分が1ヶ所しかないため、遠くにピントを合わせた場合、近くを見る時に必ず眼鏡が必要になります。

逆に近くにピントを合わせた場合、遠くを見る時に必ず眼鏡が必要になります。

それに対して、多焦点眼内レンズは焦点の合う部分が遠く・近くの2ヶ所(あるいは遠く・中間・近くの3ヶ所)あるため、遠くも近くもピントが合い、ほとんどの場面で眼鏡が必要なくなるのが特徴です。

多焦点眼内レンズのデメリット

費用が高額

単焦点眼内レンズは保険適用ですが、多焦点眼内レンズは保険適応外のため、費用が高額になります。

保険適用による白内障手術の代金に加えて、多焦点レンズ挿入のためのレンズ代/検査代/説明代が保険適応外費用(選定療養費)として別途必要になります。

選定療養費(保険適応外費用)について

片眼につき

通常レンズの場合 250,000円(税込)

乱視矯正レンズの場合 272,000円(税込)

 

*当院で使用しているレンズは3焦点眼内レンズのPanOptix(Alcon社)です。

 

 

見え方の質は劣る

単焦点眼内レンズは目の中に入った光を100%利用できますが、多焦点眼内レンズは目の中に入った光を遠方用・(中間用)・近方用に分けるため、光が分散して100%利用することが出来ません。

単焦点レンズでピントが合っているところを見た時の見え方を100点とすると、多焦点レンズではどの距離でも80~90点くらいの見え方になります。

コントラスト感度の低下

コントラストとは色の明暗や濃淡などの対比のことで、コントラスト感度が高いほど明暗や濃淡の差がはっきりと分かります。

前述のように多焦点眼内レンズは目の中に入った光を100%利用できないため、コントラスト感度が低下して、色の明暗や濃淡をはっきりと感じられなくなる可能性があります。

グレア・ハロー・スターバースト

グレアは光がにじんで見える・ぼやけて見える、ハローは光の周りに輪っかが見える、スターバーストは光に放射状の線が見える見え方です。

車のライトや信号機、街灯など、特に夜間の運転で問題になることがあります。

多焦点眼内レンズが向いている方

  • できるだけ眼鏡を使用したくない方
  • 多少の見えにくさ(グレア・ハロー・スターバースト・コントラスト感度の低下)は気にしない方
  • 細かいことは気にしない性格の方
  • 近くを見ながらの細かい作業が少ない方

多焦点眼内レンズが向いていない方

  • 術前の白内障がそれほど強くない方(コントラスト感度低下が気になりやすい)
  • 夜間の車の運転が多い方(グレア・ハロー・スターバーストで運転に支障が出る可能性がある)
  • 見え方の質にこだわりがある方
  • 細かいことが気になる方
  • 神経質な方
  • 近くを見ながらの細かい作業が多い方
  • 白内障以外の目の病気(加齢黄斑変性、緑内障など)がある方
  • 角膜不正乱視がある方(角膜高次収差0.3以上)
  • 重症ドライアイの方
  • 認知機能の低下が見られる方(80歳以上の方は、よほどしっかりしていないと難しい)
  • 保険診療外の治療に抵抗がある方

注意点

眼鏡が必要になる可能性はゼロには出来ない

多焦点眼内レンズによって遠方・(中間)・近方のそれぞれで眼鏡なしで生活できる事が期待できますが、2焦点レンズでは中間距離(100cmから50cm程度)では眼鏡が必要な事があります。

3焦点レンズでも40cm以下の近方では眼鏡があった方が見えやすいです。

屈折誤差・角膜乱視で希望の裸眼視力が得られない可能性

術前の近視・遠視・乱視の状態に合わせて最適なレンズのパワーを計算して挿入していますが、現時点ではすべての方に対して100%完璧な計算式は存在しないため、術後も近視や遠視・乱視が残り、眼鏡なしでは満足のいく視力が得られない可能性があります。

見え方に慣れるまで時間が必要

多焦点眼内レンズは遠方・(中間)・近方のそれぞれで焦点が合いますが、脳で見ている場所を切り替えることで焦点を合わせています。

そのため、多焦点レンズの見え方に脳が慣れるまでに数ヶ月ほどかかる事があります。

認知機能が低い方(特に80歳以上の方)は、脳が見え方に順応できず、満足いく見え方が得られない可能性があります。

術中の所見(チン小帯脆弱、破嚢)によって多焦点眼内レンズを入れられない可能性

多焦点眼内レンズはその性質上、瞳孔の中心に正確に固定される事が重要になります。

そのため、手術中にチン小帯(レンズを入れる袋の支えとなる組織)が弱いことが分かったり、嚢(レンズを入れる袋)が破れてしまった場合は、多焦点眼内レンズを挿入する事ができず、単焦点眼内レンズを代わりに挿入することになります。

最後に

多焦点眼内レンズは遠くから近くまで焦点が合い、生活のほとんどの場面を眼鏡なしで過ごす事ができるというメリットがありますが、見え方の質やハロー・グレアなど、多焦点眼内レンズ特有のデメリットも存在します。

保険適応の単焦点眼内レンズと比べて、費用が高いからといって、すべての面で優れているわけではありません。

多焦点眼内レンズを希望される方は、多焦点眼内レンズの特徴をしっかりと理解した上で選択するようにお願いします。

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